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2026-11-09 / 切削加工の基礎知識

図面のA・B・Cは何の印? データムで伝える部品の基準

図面に付くデータムの意味と、面や穴から基準を決める考え方を紹介します。加工用の原点との違い、基準の優先順位、見積時の確認点を説明します。

図面の面や穴に、四角で囲まれたA・B・Cが付いていることがあります。単なる場所の名前に見えますが、幾何公差の指示と組み合わせると、部品の位置や傾きを判断する大切な基準になります。以前、公差や測定の記事でも少し触れた「データム」を、今回は図面を読む側の目線で掘り下げます。

基礎知識:実際の面から、理想の基準を決める

データムは、部品の向きや位置、回転時の振れなどを評価するために設定する、理論上の基準です。その基準を作る手掛かりになる実際の面や穴を「データム形体」と呼びます。部品の表面には小さな凹凸があるので、表面そのものと、そこから設定する理想的な平面や軸線は区別して考えます。

たとえば取付面を基準に、別の面がどのくらい平行かを指定できます。また、円筒の外径や穴から中心の軸線を設定し、その軸線に対する面の姿勢などを評価することもあります。図面の記号が付く位置によって対象が変わるため、Aという文字だけでなく、どの面や寸法線につながっているかを読みます。

複数の基準には、優先順位がある

幾何公差を示す枠の中にA、B、Cと順に書かれていれば、その順番には意味があります。複数の基準を組み合わせたものを「データム系」と呼び、最初の基準で部品の姿勢を定め、次の基準で残る向きや位置を決めていきます。置きやすい面を好きな順番で使ってよい、という指示ではありません。

加工機のプログラムで使う原点と、図面のデータムも同じものとは限りません。工具を動かすために別の場所へ原点を置いても、完成品が図面の基準に対して要求を満たすことは必要です。加工の都合と、製品としての判定基準を混同しないようにします。

加工現場で気をつける点:基準を作る順序と支え方

現場では、基準になる面をいつ仕上げ、その後の工程でどこを支えるかを考えます。先に仕上げた面に打痕が付く、接触面に切りくずを挟むといったことがあれば、安定して基準を再現できません。つかみ直す工程がある部品では、基準の受け渡しも加工順序の検討に含めます。

検査でも、図面が意図する基準をどう設定するかを確認します。測定器の画面上で原点を合わせただけでは、必要な拘束や優先順位まで再現できているとは限りません。不明な指示は、測りやすい方向へ読み替えず、設計側と確認してから進めることが大切です。

発注・見積時のポイント

見積依頼では、データム記号と幾何公差の枠が読める図面をお送りください。組立図や、実際にどの面を当てて使うのかという補足もあると、設計意図を理解する助けになります。図面を描き直す際は、記号の付く位置や基準の順番が変わっていないかも確認してください。

基準の指定は、固定方法や検査の準備、費用にも関係します。指定の測定方法や検査記録が必要な場合は、見積時に併せてお知らせください。基準が未確定なら、使い方と重要な位置関係を伺い、確認すべき点を一緒に整理します。加工側だけで基準を決めてしまわず、発注側と同じ図面の読み方を共有して進めたいところです。

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