2026-11-04 / 切削加工の基礎知識
ポケット加工の内側の角に、丸みが残る理由
マシニング加工で四角いくぼみの内隅にRが付く理由と、相手部品との干渉、深さと工具の関係、見積依頼で伝えたい条件を説明します。
図面では四角いくぼみでも、削った部品の内側の角には丸みが残ります。これは加工が雑だからではなく、回転する工具で削ることに関係しています。その丸みをどこまで小さくするかで、使う工具や加工時間も変わります。今回は、マシニング加工を依頼するときに知っておくと役立つ、ポケットの内隅の話です。
基礎知識:丸い工具で四角いくぼみを削る
ポケット加工は、材料の一部を削って、底のあるくぼみなどを作る加工です。主にエンドミルという回転工具を使います。上から見て円形の工具を壁に沿って動かすため、側面同士が交わる内側の角には工具の半径に応じた丸みが残ります。図面にあるRは、その丸みの半径を表す記号です。
内隅のRを小さくするには、そこへ入る細い工具が必要になります。大きな工具で全体を削り、角の部分だけ小さな工具で仕上げることもあります。くぼみの幅と深さが同じでも、角の指定によって工程が増える理由はここにあります。
組み付ける部品があるなら、角の当たりも確認する
四角い部品をポケットにはめ込む場合、幅の寸法が合っていても、相手部品の角が内隅の丸みに当たることがあります。幅だけでなく、相手の角の形と、どの面を当てて位置を決めるのかを一緒に確認する必要があります。
設計上問題がなければ、相手部品の角を落とす、内隅に逃げを設ける、といった方法も考えられます。逃げは、必要な接触を妨げないように余分に削る部分です。ただし、肉厚や強度、シールの機能に関わる場合もあるため、加工側の判断だけで形状を変えることはできません。
加工現場で気をつける点:小さいRと深さの組み合わせ
細い工具を長く突き出して使うと、削る力でたわみやすくなります。深いポケットの奥に小さなRがある形状では、工具が届くだけでなく、安定して削れるか、壁面を狙った寸法に仕上げられるかまで検討します。切りくずの排出や、工具を持つ部分と部品との干渉にも注意が必要です。
上から見た内隅のRと、壁と底がつながる部分のRは別のものです。「角は小さく」という言葉だけでは、どちらを指すか分かりません。必要な箇所を図面で示し、断面図も添えていただくと、形の受け取り違いを減らせます。
発注・見積時のポイント
見積依頼には、材質、数量、希望納期に加え、ポケットの幅、深さ、内隅のR、必要な公差を記載したPDF図面を付けてください。3Dデータがあれば形状の確認に役立ちますが、組み付けに重要な寸法や変更できない条件は、図面や補足文でも伝えていただけると助かります。
Rの大きさに余裕がある場合は、「この範囲なら変更を相談できる」とお知らせください。逆に相手部品の都合で変更できない場合は、その理由も大切な情報です。見た目を四角くすることと、部品として必要な働きを満たすことを整理すると、無理の少ない加工方法を相談しやすくなります。