2026-11-02 / 切削加工の基礎知識
アルミ材は、合金番号と質別を一緒に確認する
A2017やA5052などの合金番号に加え、質別、材料形状、表面処理まで確認する理由を、切削加工と見積りの視点から説明します。
図面に『アルミ』とだけ書かれていても、加工方法や見積りを決めるには情報が足りません。アルミニウムには多くの合金があり、同じ合金でも熱処理や加工硬化の状態を示す『質別』によって性質が変わります。さらに、丸棒、板、押出材といった材料の形状でも、入手しやすい寸法や加工の進め方が違います。今回は、アルミ部品を依頼するときに確認しておきたい材料指定の基本をまとめます。
アルミ合金と質別の基礎知識
アルミニウム合金は、主に加える元素によって1000系、2000系、5000系などに分けられます。たとえばA2017は2000系のAl-Cu系で強度を重視する部品に使われ、A5052は5000系のAl-Mg系で耐食性や加工性を考えて選ばれます。どちらもアルミですが、切削時の感触や用途、表面処理を含めた材料選びは同じではありません。
材料記号の後ろに付くO、H、Tなどは質別を表します。焼なまし、加工硬化、熱処理など、材料がどのような状態にあるかを示す記号です。同じ合金番号でも質別が違えば強さや伸びなどが変わるため、設計上必要な場合は合金番号と質別を一組で指定します。
材料形状も加工方法に関係する
旋盤加工では丸棒、マシニング加工では板や角材を使うことが多いものの、完成品に近い材料形状が常に最適とは限りません。つかむ部分、切断しろ、反りを逃がす余裕、仕上げ代が必要です。完成寸法だけで材料を選ぶと、固定できなかったり、削り残しが出たりする場合があります。
材料の流通寸法も大切です。指定寸法が特殊だと、ひと回り大きな材料から削る、長い定尺材を購入する、取り寄せに時間がかかるといったことがあります。材料費だけでなく、切断や余分に削る時間、残材の扱いまで見積りに関係します。
加工現場で気をつける点
現場では、材料の表示やミルシートを確認し、案件ごとに取り違えがないよう管理します。アルミ材は外観だけでは合金や質別を判断しにくいため、似た寸法の材料を並べたままにせず、入荷時から識別しておくことが基本です。支給材の場合も、材質表示と図面の指定が合っているかを加工前に確認します。
薄肉形状や大きく削り込む形状では、材料内部の応力が解放されて反りや変形が出ることがあります。加工順序、つかみ方、仕上げ代を考え、必要に応じて途中で状態を確認しながら仕上げます。
発注・見積時のポイント
見積依頼では、合金番号、質別、数量、希望納期、表面処理の有無を図面や依頼文に記載してください。材料証明が必要なら、ミルシートの提出要否も最初に伝えていただくと、材料手配から検討できます。支給材の場合は、素材の形状と寸法、支給数も必要です。
指定材が入手しにくい場合に代替材を検討できるか、材料取りを変更してよいかも、価格と納期を左右します。設計上変更できない条件と、加工側から提案を受けられる条件を分けておくと、見積りの行き違いを減らせます。