2026-10-30 / 切削加工の基礎知識
バリ取りは「おまかせ」だけでは伝わりにくい
切削加工で発生するバリの基礎、加工現場での除去と確認、面取りとの違い、見積依頼で伝えていただきたい仕上がりを説明します。
切削加工の図面には、「バリなきこと」「バリ取り」「糸面取り」といった指示が書かれていることがあります。どれも角を整える意味で使われますが、求める仕上がりが同じとは限りません。手で触れて危なくない状態でよいのか、相手部品と接するため一定の面取り寸法が必要なのかによって、加工方法と確認内容が変わります。今回は、見積りや完成後の行き違いを減らすために、バリと面取りの考え方を整理します。
切削加工で発生するバリの基礎知識
バリは、旋盤、フライス、穴あけなどで材料を削ったとき、工具の抜け際や穴の出口、部品の角に残る小さな突起です。材質、工具の状態、切削条件、工具が入る向きによって、出る場所や大きさが変わります。加工工程だけで完全に防ぐことが難しいため、発生を抑えたうえで必要な箇所を除去します。
バリ取りは、不要な突起を取り除く作業です。面取りは、角を一定の幅や角度で削って形を作る作業です。「軽く角を落とす」程度なら手作業で整える場合もありますが、C面やR面の寸法が図面で指定されていれば、工具を使って狙った形状に加工し、寸法を確認します。
バリが残ると起きやすい問題
鋭いバリは、取り扱う人の手を傷つけることがあります。組み付け部や摺動部に残れば、相手部品へ当たったり、正しい位置まで入らなかったりすることもあります。穴やねじの入口、シール面、部品内部の交差穴などは、外から見えにくいため注意が必要です。
測定面にバリが残っていると、バリの上から測って本来と違う数値が出る場合があります。また、除去するときに削りすぎれば、必要な角や面まで崩してしまいます。大きく取ればよい作業ではなく、必要な形状を残しながら不要な部分だけを除くことが大切です。
加工現場で気をつける点
現場では、工具の切れ味や加工条件を見直してバリを抑え、加工後に目視や手触りで確認します。単純な外周なら処理しやすい一方、交差穴の内側や深い溝の奥は工具が届きにくく、確認にも時間がかかります。形状によっては専用工具や追加工程が必要です。
量産品では、工具が摩耗するとバリの状態が変わることがあります。最初の一個だけで判断せず、加工途中でも角や穴の出口を確認します。バリ取り後は、削り残しに加えて、傷、打痕、面取りの過不足がないかを見ます。
発注・見積時のポイント
見積依頼では、特にバリを残せない箇所、手が触れる箇所、相手部品と接する箇所をお知らせください。面取り寸法が必要なら、C面、R面、角度などを図面へ記載していただくと判断しやすくなります。「全周バリ取り」という指示でも、内側の交差穴まで含むか、外周だけかで作業内容が変わります。
用途が分からない段階では、図面と一緒に「組み付け部」「シール面」「手で触れる部分」などを伝えてください。加工側で確認すべき場所を整理できます。バリ取りを含む仕上げの程度を見積り時に共有しておくと、追加作業や納品後の手直しを減らしやすくなります。