2026-10-28 / 切削加工の基礎知識
マシニング加工は、どの面から削るかで工程が決まります
マシニングセンタの基本と3軸・5軸加工の違い、段取り替えや基準面の考え方、見積依頼で伝えていただきたい内容を解説します。
マシニングセンタは、回転する工具を使って材料を削る工作機械です。平面、穴、溝、ポケットなど、さまざまな形状を加工できます。ただし、完成形だけを見てすぐに加工できるわけではありません。材料をどこで固定し、どの面を基準にして、どの方向から工具を当てるかを決める必要があります。この工程の組み立てが、加工の安定や精度、費用に大きく関係します。今回は、3軸加工と5軸加工の違いも交えながら、図面を見るときの基本を説明します。
マシニング・フライス加工の基礎知識
フライス加工は、材料を固定し、刃の付いた工具を回転させて削る加工です。一般的な3軸マシニングセンタは、工具やテーブルをX・Y・Zの3方向へ動かします。正面を平らにする、穴をあける、段や溝を作るといった加工を、工具を自動交換しながら続けて行えます。
一度の固定で加工できるのは、工具が無理なく届く面です。裏側や横側を加工するには、材料の向きを変えて固定し直すことがあります。この作業を段取り替えと呼びます。固定し直すたびに基準を合わせる必要があるため、面同士の位置関係や直角度が重要な部品では、加工順序を慎重に考えます。
5軸加工は、段取りを減らすための選択肢
5軸加工機は、3つの直線軸に2つの回転・傾斜軸を加えた機械です。材料や工具の角度を変えられるため、一度の固定で複数の面を加工しやすくなります。角度を決めてから3軸で削る割り出し加工と、5つの軸を同時に動かして曲面を削る同時5軸加工があります。
5軸なら必ず早く安くなるわけではありません。部品の形、数量、必要な精度、治具、プログラム作成、工具干渉の確認まで含めて判断します。単純な平面や穴が中心なら3軸の方が組み立てやすい場合もあります。一方、複数方向の穴や傾斜面があり、持ち替えによるずれを抑えたい部品では、5軸の利点が出やすくなります。
加工現場で気をつける点
加工中に材料が動かないよう、治具やバイスでしっかり固定します。ただし、薄い部品を強く締めすぎると変形することがあります。工具を長く突き出すと、削る力でたわんだり、びびりと呼ばれる振動が出たりします。深い穴や奥まった形状では、工具が届くかだけでなく、切りくずが外へ出るか、加工部分を測定できるかも確認します。
荒加工で不要な部分を大きく削り、仕上げ加工で寸法と面を整えるのが基本です。材料の残し方が片寄ると変形につながるため、どの面から、どの程度ずつ削るかを考えます。加工後は図面の基準に合わせて測定し、必要に応じて工程の途中でも寸法を確認します。
発注・見積時のポイント
見積依頼では、できればPDF図面と3Dデータを添え、材質、数量、希望納期、表面処理や熱処理の有無をお知らせください。特に重要な基準面、穴位置、直角度、平行度、表面粗さが分かると、固定方法と加工順序を検討しやすくなります。ねじ穴は種類と深さ、止まり穴か貫通穴かも確認が必要です。
3軸と5軸のどちらがよいか、発注側で決めていただく必要はありません。完成部品に必要な機能と、変更できない箇所を伝えていただければ、加工側で工程を検討します。形状を少し変更できる場合は、工具が届きやすくなったり、段取りを減らせたりすることもありますので、相談できる部分があれば併せてお知らせください。