2026-10-20 / 製造業ニュース
製造業ニュース|工作機械の保全AI、中小企業AXと業務自動化
工作機械の不具合対応を支援する生成AI、中小企業の地域AX支援、自然な言葉から手順を作る次世代RPAを、町工場の保全・事務改善の視点で整理します。
2026年10月20日朝までに確認できたメーカーと公的機関の公式発表から、過去記事で未掲載の3件を取り上げます。今回の共通点は、AIを単独で使うのではなく、メーカーの正式な技術情報、地域の支援体制、再現性のある自動処理と組み合わせる動きです。発表された事実と町工場への着眼点を分け、設備保全と間接業務の改善に置き換えてまとめます。
1.DMG森精機、工作機械の不具合対応を支援する生成AIを提供
【ニュースの要点】DMG森精機は10月19日、会員向けポータル「my DMG MORI」で、工作機械の不具合診断から解決策の提示、サービス依頼の作成までを支援する「サービスエージェント」の提供開始を発表しました。AIとの対話でアラーム内容、発生時刻、頻度、再現性などを整理し、同社の取扱説明書や保守担当者の知見をもとに対応策を提示します。登録された機械の型式・製造番号に応じた情報を扱い、解決しない場合は会話内容を引き継いでサービス依頼を作成できる仕組みです。入力情報はAIの学習には使わず、処理は国内のMicrosoft Azure環境で行うとしています。
【町工場への影響・着眼点】以下は編集上の考察です。生成AIは初動を速める道具になりますが、現場側でアラーム番号、発生時刻、直前の操作、加工条件、再現の有無を記録できなければ、正確な切り分けは難しくなります。設備ごとに故障記録の書式をそろえ、写真や画面表示を残す運用が有効です。安全装置の解除や機械内部での作業はAIの回答だけで判断せず、取扱説明書とメーカーの指示を優先し、電源遮断や立入管理などの安全手順を守る必要があります。
2.中小企業庁、地域でAI導入を支えるAX実装ネットワーク事業を開始
【ニュースの要点】中小企業庁は10月19日、中小企業・小規模事業者のAI導入と活用を後押しする「中小企業AX実装ネットワーク」事業を実施すると公表しました。地域ごとに支援ネットワークを構築し、AI導入・活用の支援体制を整備することで、生産性と付加価値の向上を目指す取り組みです。制度の詳細や今後の案内は、中小企業庁の事業ページと専用サイトで確認する必要があります。
【町工場への影響・着眼点】以下は編集上の考察です。AI導入は、製品名から選ぶより、見積り、工程表作成、設備停止の記録、検査記録、図面検索など、時間のかかる仕事を一つ選ぶところから始めると効果を測りやすくなります。地域の支援窓口を利用する場合も、作業時間、入力データ、期待する削減時間、機密情報の扱いを整理して相談することが重要です。補助や伴走支援の有無だけで決めず、導入後に自社で運用・修正できるか、利用料やデータ保存先まで確認します。
3.NTT-AT、自然な言葉から自動化手順を作る「AiActor」を開発
【ニュースの要点】NTTアドバンステクノロジは10月15日、AIとのチャットで依頼した業務の手順を組み立て、WinActorの技術でパソコン業務を実行する次世代RPA「AiActor」の製品化に着手したと発表しました。専門的なシナリオ設計の知識がなくても、自然な言葉から自動化手順を生成し、実行前に画面で処理内容を確認できる構想です。10月21日から23日まで幕張メッセで参考出展し、2027年春の提供開始を目指しています。開発中のため、製品版の仕様は変更される可能性があります。
【町工場への影響・着眼点】以下は編集上の考察です。受注内容の転記、納期一覧の更新、検査記録の集計、定型メールの作成などは自動化の候補になります。ただし、見積金額、発注、出荷、メール送信を無確認で実行させると誤処理の影響が大きくなります。まず読み取りや下書き作成に限定し、担当者の承認後に確定する流れにします。テスト用データで繰り返し確認し、処理履歴、利用者権限、停止方法、元に戻す手順を準備してから本番運用へ移すことが重要です。
今日、社内で確認したいこと
設備1台について、アラーム発生時に記録する項目を決める。毎週繰り返しているパソコン作業を一つ選び、所要時間と確認者を記録する。AIへ入力してよい情報と、図面・顧客情報など入力してはいけない情報を分ける。この3点を先に決めると、AIを安全に試し、効果を数字で判断しやすくなります。